2026.08.25
繰り返しの地震に強い理由
こんにちは、林です。
7月28日、熊本で大きな地震がありました。
気象庁によると、16時27分に熊本県熊本地方で発生した地震はマグニチュード7.1、最大震度7。「令和8年熊本地震」とされています。
被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
今も不安な時間を過ごしている方がいらっしゃると思います。一日も早く、穏やかな日常が戻ることを願っています。
今回の地震を知ったとき、私が思い出したのは10年前の熊本地震でした。
2016年4月、熊本では14日と16日に最大震度7を観測する大きな地震がありました。
あの地震で強く感じたことがあります。
地震は、一度大きく揺れて終わりとは限らない。
当たり前のことかもしれません。
でも家をつくる側として考えると、この「一度ではない」ということは、とても大きな意味を持っています。
そして10年後、同じ熊本で再び大きな地震が起きました。
改めて「地震に強い家とは何だろう」と考えています。
一度目の揺れに耐えれば、それでいいのか
家の耐震性を調べ始めると、「耐震等級」という言葉にたどり着くと思います。
参建でも、許容応力度計算による耐震等級3を基本にしています。
耐震等級3は大切です。
ただ、私はそこだけで安心してしまわないようにしています。
理由は、2016年の熊本地震で見たように、大きな揺れが繰り返す可能性があるからです。
家も人と同じで、大きな力を受ければ負担がかかります。
一度目の揺れを耐えたとしても、建物の中には少しずつダメージが残る可能性があります。
その状態でもう一度、大きな揺れが来たらどうなるのか。
私はそこまで考えておきたいと思っています。
今回の令和8年熊本地震でも、16時27分の最大震度7の地震のあと
同じ日の19時03分には熊本県熊本地方を震源とする最大震度5弱の地震が観測されています。
その間にも震度4を観測する地震がありました。
一度大きく揺れたから、もう安心。
自然は、なかなかそうさせてくれません。
だから私たちは、一回の地震だけを見て家を考えるのでは少し足りないのではないかと思っています。
建築基準法は「命を守る」ための大切な基準です
「建築基準法は、一回の地震に耐えられればいい基準ですよね」
そんな説明を聞くことがあるかもしれません。
ただ、この言い方は少し注意が必要です。
国土交通省が示している現在の耐震基準では、中規模の地震に対してはほとんど損傷せず
極めて稀に発生する大規模な地震に対しては、人命に危害を及ぼすような倒壊・崩壊をしないことが目標になっています。
ここで私が大切だと思うのは、
「大きな地震でも無傷であること」を求めた基準ではない
ということです。
大きな地震のとき、まず人の命を守る。
建築基準法の耐震基準には、そうした大切な役割があります。
ただ、住宅をつくる私たちは、その最低限の基準を満たすところだけで考えるのではなく
その先も見ておいたほうがいいのではないでしょうか。
地震が収まったあと、その家に戻れるのか。
そこで家族がまた眠れるのか。
そして翌日、翌週にもう一度大きな地震が来たらどうなのか。
家は、地震に一度耐えるためだけにつくるものではありません。
何十年も、ご家族の暮らしが続く場所です。
そう考えると、私には「一度目のその先」がどうしても気になります。
だから、耐震等級3を基本にしています
では、どう考えればいいのか。
まずは家そのものを、しっかり強くつくることだと思っています。
参建では、許容応力度計算による耐震等級3を基本にしています。
2016年の熊本地震について国土交通省が行った原因分析でも
大きな被害があった益城町中心部において
住宅性能表示制度の耐震等級3の住宅には大きな損傷が見られず
大部分が無被害だったと報告されています。
これは、耐震等級3を考えるうえで参考になる事実だと思います。
ただし、私は「耐震等級3だから絶対大丈夫」とは言いません。
地震は毎回同じではありませんし、地盤や建物の形、揺れ方など条件も違います。
大切なのは、等級という数字を取ることだけではなく、その数字に至るまでの設計や施工をきちんと積み重ねることです。
一棟一棟、構造を確認する。
その当たり前を、丁寧に続けていく。
まず、それが参建の耐震に対する基本的な考え方です。
耐震等級3に「制震」を加える理由
そして参建では、耐震等級3だけでは終わらず、制震テープも標準で採用しています。
これも、理由は「繰り返す地震」です。
耐震は、建物そのものを強くして揺れに耐える考え方です。
一方の制震は、揺れによって建物へ入ってくるエネルギーを吸収し、建物への負担を抑えていこうという考え方です。
私は、どちらかが優れているという話ではないと思っています。
まず耐震で、しっかりとした家をつくる。
そこに制震を加えて、繰り返しの揺れにも備えていく。
役割の違う二つを重ねるイメージです。
車で考えると、少し分かりやすいかもしれません。
車体を頑丈につくることも大切ですが、それだけではなく
シートベルトやエアバッグもあります。
それぞれ役割は違いますが、「人を守る」という目的は同じです。
住宅の耐震と制震も、私は少し似たものとして考えています。
もちろん、制震テープを入れれば、どんな地震が何回来ても大丈夫という意味ではありません。
そういう言い方はできませんし、するべきではないと思っています。
ただ、10年前の熊本地震のように大きな揺れが繰り返すことが現実にある以上
そこに備える方法があるのであれば、できることはしておきたい。
それが参建で制震まで考えている理由です。
私が考える「地震に強い家」は、その後も暮らせる家
耐震性能というと、どうしても数字の話になりがちです。
耐震等級はいくつなのか。
どんな構造計算をしているのか。
どんな制震部材を使っているのか。
もちろん、どれも大切です。
でも最後に考えたいのは、そこで暮らす家族のことだと思います。
大きな地震が来た夜。
余震が続く中で、子どもと一緒にどこで眠るのか。
翌朝、いつもの台所でご飯をつくれるのか。
そして数日後、また強い揺れが来たときに、この家で大丈夫だと思えるのか。
性能という数字の先には、そういう普通の暮らしがあります。
参建では、家を建てて終わりではなく、その後も「家守り」として長くお付き合いしていくことを大切にしています。
だからこそ、完成した日の家だけを見るのではなく、地震のあと、そのまたあとまで考えて家をつくりたいと思っています。
「耐震等級3です」の次を聞いてみてください
これから家づくりをされる方に、ひとつだけお伝えするとすれば、
住宅会社で「耐震等級3です」と聞いたときに、もう一つ質問してみてください。
「繰り返す地震については、どう考えていますか?」
これだけでもいいと思います。
耐震等級3という数字は同じでも、そこに至る考え方や設計方法、さらに制震をどう考えているかは会社によって違います。
どれが唯一の正解、ということではありません。
だからこそ、数字だけを比べるのではなく、
「なぜ、このつくりにしているのですか?」
と聞いてみる。
その答えを聞いたうえで、ご家族が納得できる家づくりを選ぶのがいいのではないでしょうか。