2025.08.24
映画「人生フルーツ」を観て
リフォーム・リノベ担当の宇津です。
春日井で住宅に関わる仕事をしている以上、ぜひとも見たいと思っていた映画「人生フルーツ」を観ました。
高蔵寺ニュータウンの都市計画を手掛けた建築家の津端修一さん90歳とその妻英子さん87歳の生活に密着したドキュメンタリー。
津端さんは日本住宅公団に勤め、高蔵寺以前に阿佐ヶ谷住宅や多摩平団地の都市計画を手掛けた。高蔵寺ニュータウンは山の姿を留め、風の通り道となる雑木林を残した街づくりをしたいと考え、マスタープランを作成した。だが、経済優先の時代、谷は埋められ平坦に造成され、無機質な住宅団地になってしまう。
津端さんは「建築家や都市計画家というのはそれが出来上がってもそこに住むことはない。出来上がる頃には逃げるようにいなくなるものだ」という。だが、津端さんは自分が思い描いた理想の街の姿を一つの敷地で再現しようと、ニュータウンの一隅に300坪の土地を購入、30帖一間の平屋を建て、雑木や果樹の苗を植えた。
木漏れ日、葉擦れの音。庭の水盤に小鳥が水浴びにやってくる。落ち葉を畑にまき、耕し、季節ごとに採れた野菜や果物で食事を作る。調理に利用するガスオーブンや土鍋は40年現役。電話は黒電話。
生活のあらゆることが便利そうではなく、手間がかかります。作物も土もじっくりと育てます。道具一つ一つを大事に長く使います。でもそうした生き方はとても豊かで美しく見えました。「簡単、便利」が必ずしも人の生活を豊かにする訳ではないのかもしれません。
住環境、暮らし、生き方について改めて考えさせてくれる作品でした。