2026.10.03
換気は一種、三種?
こんにちは、林です。
家づくりのお話をしていると、「換気は第一種と第三種、どちらがいいですか?」と聞かれることがあります。
断熱や気密について調べている方ほど、換気についてもよく勉強されていて、「第一種のほうがいいんですよね?」と聞かれることもあります。
ただ、私は換気については、一種だからいい、三種だから悪い、というように単純に分けるものではないと思っています。
それぞれに特徴がありますし、当然メリットもデメリットもあります。
そして、換気方式を考える前に、実はもっと大切なことがあります。
それが、家の気密です。
換気というと機械の性能に目が向きやすいのですが、どんなにいい換気設備を入れても、家に隙間が多ければ、計画した通りには空気が動いてくれません。
今日は第一種、第二種、第三種の違いから、なぜ気密が大切なのか。そして私がこれからの家づくりでは「熱交換」という考え方がより大切になってくると思っているのか。
少し基本に戻りながら、一緒に考えてみたいと思います。
換気は「一種がいい、三種がいい」だけでは決められない
そもそも第一種・第二種・第三種換気とは
住宅の換気方式は、大きく第一種、第二種、第三種に分けられます。
違いは、家に空気を「入れる」ときと「出す」ときに、機械を使うかどうかです。
第一種換気は、給気も排気も機械で行います。
第二種換気は、給気を機械で行い、排気は自然に行います。
第三種換気はその反対で、給気は自然に行い、排気を機械で行います。
一般の住宅で検討されることが多いのは、第一種と第三種ではないでしょうか。
第三種は仕組みが比較的シンプルです。
一方、第一種は給気と排気の両方を機械で行うため、空気の出入りを計画しやすいという特徴があります。
ここだけ聞くと「では第一種のほうがいいのでは」と思うかもしれません。
でも、その前に考えておきたいことがあります。
換気を考える前に、まず家の「気密」が大切
換気設備は、取り付ければそれだけで計画通りに換気してくれるわけではありません。
私はここがとても大切だと思っています。
例えば、ここから外の空気を入れて、家の中を通り、ここから排気する。
そういう空気の道筋を考えて設計していても、家のあちらこちらに隙間があれば、空気は思っていた場所とは違うところから入ってきます。
玄関の隙間から入るかもしれませんし、壁や床の小さな隙間から入ってくるかもしれません。
これでは、せっかく換気計画をしても、その通りに空気を動かすことが難しくなります。
換気は設備だけを見るのではなく、「空気の入口と出口をきちんとつくれる家になっているか」というところから考える必要があるんですね。
参建では全棟で気密測定をしています。これは単にC値という数字を良く見せたいからではありません。換気や空調を、設計した通りに働かせるためでもあります。
第一種換気と第三種換気、それぞれのメリット・デメリット
第三種換気はシンプルだからこその良さがある
第三種換気は、室内の空気を機械で外へ出し、外の空気は給気口から自然に入れる仕組みです。
構造が比較的シンプルなのは、第三種の良さだと思います。
設備がシンプルであれば、導入時の費用や将来のメンテナンスについても考えやすくなります。
一方で、外の空気を基本的にはそのまま取り入れることになります。
冬であれば冷たい外気、夏であれば暑く湿った外気が入ってくる。
せっかくエアコンで室内を快適な温度にしていても、換気をする以上、外気は入ってきます。
もちろん、これは第三種が悪いという話ではありません。
換気には新鮮な空気を取り入れるという大切な役割がありますから、外気を入れないわけにはいきません。
だからこそ、「外気をどう入れるか」まで考えることが大切になってきます。
第一種換気は給気も排気もコントロールしやすい
第一種換気では、空気を入れる側も出す側も機械で動かします。
そのため、第三種と比べると、給気と排気のバランスを計画しやすいところがあります。
ただし、機械が増える分、設備費や電気代、フィルターなどのメンテナンスも考えなければいけません。
何でもそうですが、設備は入れて終わりではありません。
10年、20年と暮らす家ですから、掃除はどうするのか、フィルター交換はどうするのかというところまで見ておいたほうがいいと思います。
そのうえで、第一種にはもう一つ大きな特徴があります。
それが「熱交換」です。
私が第一種換気の「熱交換」を大切だと考える理由
せっかく整えた室温を、換気でそのまま捨てない
熱交換という言葉は、少し難しく聞こえるかもしれません。
簡単に言えば、家から捨てる空気が持っている熱を利用して、外から入ってくる空気を室温に近づけてから取り込む仕組みです。
例えば冬。
室内を暖房で暖かくしていて、その暖かい空気をそのまま外へ捨て、代わりに冷たい外気をそのまま入れたら、また暖め直さなければなりません。
少しもったいないですよね。
そこで、捨てる空気が持っている熱を回収して、新しく入ってくる空気に渡す。
そうすることで、換気による冷暖房のロスを抑えやすくなります。
参建で採用している「澄家」も全熱交換型で、排気する空気から熱だけでなく湿度も回収し、給気側へ再利用する仕組みになっています。
私が第一種換気に魅力を感じている理由の一つが、この熱交換です。
冬だけではなく、暑い夏にも意味がある
熱交換というと、寒い冬をイメージする方が多いかもしれません。
でも、私はこれからは夏についても考えておく必要があると思っています。
外がかなり暑い日に、エアコンでせっかく涼しくした室内へ、外の暑い空気をそのまま入れる。
当然、エアコンにはその分の負担がかかります。
熱交換換気であれば、外気を室内の温湿度に近づけてから取り込めるため、換気による冷暖房のロスを抑えることにつながります。
最近の夏の暑さを考えていると、この意味は以前より大きくなっているように私は感じます。
もちろん、これから気候がどう変わるかを正確に言い切ることはできません。
ただ、暑さや寒さが厳しい日でも、なるべく少ないエネルギーで室内環境を整えられるようにしておく。
家は長く住むものですから、そういう視点もあっていいのではないでしょうか。
高気密だからこそ、換気がきちんと働く
ここでもう一度、最初の「気密」の話に戻ります。
高断熱にする。
高性能なエアコンを使う。
熱交換型の第一種換気を入れる。
それぞれ大切ですが、私はこれらを別々に考えないほうがいいと思っています。
家にたくさんの隙間があれば、せっかく暖めたり冷やしたりした空気が逃げてしまいます。
同時に、換気設備が想定していないところから外気が入れば、空気の流れも計画しにくくなります。
だから、断熱、気密、換気、そして空調はセットです。
参建でも、単に高性能な換気設備を採用すればいいとは考えていません。
どこから空気を入れて、どこを通して、どこから出すのか。
エアコンでつくった空気をどう家全体に運び、どう戻すのか。
こうした「空気の流れ」まで設計することを大切にしています。
「澄家」を採用しているのも、第一種だからという理由だけではありません。
熱と湿度を回収できることに加えて、床面から排気するという考え方など、私たちが考える家全体の空気環境との相性を見ながら採用しています。
設備単体で考えるというより、「この家で暮らしたときに、空気がどう動くか」を考える。
私はそのほうが大事だと思っています。
まとめ|一種か三種かより、家全体で換気を考えてみる
「第一種換気と第三種換気、どちらがいいですか?」
そう聞かれたとき、私は一種なら何でもいい、三種だからダメ、とは考えていません。
第三種にはシンプルな仕組みならではの良さがあります。
第一種には給気と排気をコントロールしやすく、熱交換を利用できるという良さがあります。
どちらにもメリットとデメリットがあります。
ただ、これから先も長く暮らしていく家を考えたとき、私は熱交換の意味は今まで以上に大きくなっていくのではないかと思っています。
そして、その換気をきちんと働かせる土台になるのが気密です。
断熱だけ。
気密だけ。
換気だけ。
どれか一つの性能を良くすれば快適な家になるわけではありません。
家全体を一つのものとして考えて、空気がどう入り、どう動き、どう出ていくのか。
モデルハウスを見るときにも、換気設備の商品名だけではなく、「この家では空気がどう動いているんですか?」と聞いてみると、家づくりを見る視点が少し変わるかもしれません。