2026.09.19
マーベックス大宮モデルを見て
こんにちは、林です。
先日、マーベックスさんの大宮モデルを見学してきました。
今回見てみたかったのは、「エアコン1台で家全体を空調する」という考え方です。
エアコン1台で家中を快適にする仕組み自体は、今ではいろいろなメーカーさんが考えています。
参建でも、単純にエアコンの台数を増やして快適にするのではなく、断熱・気密性能を高めたうえで、
空気をどう動かすかということは以前から大切にしてきました。
ただ、同じ「エアコン1台」という言葉でも、つくり方はそれぞれ違います。
今回は、換気システムの「澄家」でお付き合いのあるマーベックスさんが、本気で住宅全体の空調まで考えるとどうなるのか。
そのマーベックスバージョンを一度自分の目で見て、実際に体感してみたいと思い、大宮まで行ってきました。
設備の仕組みを見ることが目的だったのですが、実際に行ってみると、空調だけでなく建物そのものにもいろいろと気づきがありました。
こういう見学は、やはり面白いですね。

エアコン1台で家中を快適にする、マーベックスの考え方
大宮モデルの空調は、2階に空調室を設け、そこから階間と床下へ空気を分配していく仕組みになっていました。
その空気を動かす役割をしているのが「ララファン」(床付けの送風機)です。
一つのエアコンでつくった冷気や暖気を、必要な場所へ運んでいく。
文章にすると比較的シンプルなのですが、実際に家一棟でやろうとすると、考えることはかなり多くなります。
リビングだけが快適でも意味がありません。
寝室や子ども部屋、廊下など、家の中を移動したときに「あれ、ここだけ暑いな」「この部屋は少し寒いな」となれば、
家全体としての快適さにはつながりにくいからです。
今回、大宮モデルの中を歩いていて印象的だったのは、どの部屋にいても心地よかったことでした。
エアコン1台という言葉を聞くと、その台数自体に目が行きやすいのですが、本当に大切なのは1台であることではないのだと思います。
暮らしている人が、エアコンの存在をあまり意識せず過ごせること。
結果として1台でそれができるなら、理にかなった方法の一つなのだと思います。
一番気になったのは「空気をどう戻すか」でした
今回、私が特に見ていたのがエアコンまでの「リターン」です。
これは職業病みたいなものかもしれません。笑
空調というと、どうしても「エアコンから出た空気をどう送るか」に注目しがちです。
もちろん、それも大切です。
ただ、空気は送ったら終わりではありません。
一つのエアコンで家全体を空調するのであれば、それぞれの場所へ運ばれた空気が、
どうやってエアコンのところまで戻ってくるのかも考える必要があります。
たとえば、ある部屋へ暖かい空気を送ることができても、空気の戻り道がうまく取れていなければ、そこで流れが滞ってしまいます。
道路で言えば、行きの道だけつくって帰り道がないようなものです。
特に扉を閉めて使う個室は、このあたりをきちんと考えておかないといけません。
大宮モデルでは、どの部屋からどう空気を戻すのかまでよく考えられていました。
2階の空調室から階間、床下へ空気を分配する。
そして、それぞれの空間を通った空気をまた戻していく。
この一連の流れがあるからこそ、実際に歩いたときの温度ムラの少なさにつながっているのだと思います。
「エアコン1台」という分かりやすい部分より、その裏側にある空気の通り道のほうに目が行ってしまいました。
数字だけでは分からない「どこにいても心地よい」という感覚
住宅の性能を考えるうえでは、UA値やC値といった数値ももちろん大切です。
参建でも、そこはきちんと確認しています。
ただ、私は自邸を建てて実際に暮らすようになってから、以前にも増して「最終的には体感だな」と思うようになりました。
数値が良いことと、暮らしていて心地よいこと。
この二つはつながっていますが、まったく同じではありません。
断熱や気密をしっかり考えていても、空調の計画が合っていなければ、部屋ごとの温度差が生まれることもあります。
逆に、空調設備だけを立派にしても、家そのものから熱がどんどん逃げてしまえば効率は良くありません。
家の性能と、設備と、空気の流れ。
それぞれを別々に考えるのではなく、一つの住まいとして考えることが大事なのだと思います。
大宮モデルで感じた「どの部屋にいても心地よい」という感覚は、そのバランスがうまく取れているからなのかもしれません。
温度計を持って一部屋ずつ測らなくても、部屋を移動したときに違和感がない。
毎日の暮らしでは、こういうことのほうが案外大切ではないでしょうか。
空調を見に行ったのですが、建物の設計も印象に残りました
もう一つ面白かったのが、建物そのものです。
大宮モデルは、設計事務所に設計を依頼されているとのことで、デザイン性の高い住宅になっていました。
特に印象に残ったのが、中庭です。
建物があるのは住宅密集地で、周囲に向かって大きく開ける場所がそれほどありません。
こういう敷地では、「窓を大きくすれば明るくなる」という単純な話ではありません。
外からの視線もありますし、隣家との距離も考えなければいけません。
そこで、この住宅では中庭を中心として建物が計画されていました。
外へ向かって無理に開くのではなく、自分たちの家の内側に、光や視線の抜けをつくる。
住宅密集地という条件をネガティブに捉えるのではなく、その条件の中で心地よい場所をつくっているところが印象的でした。
空調設備を見に行ったはずなのですが、気づけば建物のほうもずいぶん見ていました。笑
性能が良ければデザインは二の次でいい、ということでもありません。
かといって、見た目だけ整っていれば暮らしやすいわけでもありません。
性能も、空調も、間取りも、デザインも。
住む人にとっては全部が一つの「家」です。
そう考えると、今回のモデルは空調設備だけを見るより、住宅全体として見ることで学べることが多かったように思います。
参建でも、家づくりは少しずつアップデートしています
今回見た仕組みを、そのまますぐ参建の家に採用するという話ではありません。
ただ、今後の家づくりを考えていくうえでは、一つの材料になりそうだと感じています。
参建ではこれまでも、断熱性能や気密性能だけではなく、エアコンをどこに置き、
空気をどう動かすかというところまで考えてきました。
私自身、自邸でも温度や湿度を測ったり、空調の使い方を試したりしています。
実際に住んでみると、「計算上はこうなる」と「暮らしてみたらこうだった」の間に、小さな発見がたくさんあります。
そうした経験を次の家づくりに活かして、また試してみる。
その繰り返しです。
住宅は一度つくった仕様をずっと続けていればいいものではないと思っています。
新しい設備や考え方が出てきたときには、まず見て、体感して、自分たちなりに考える。
良いと思えば取り入れることもありますし、参建の家づくりには今までの方法のほうが合っている、という結論になることもあります。
今回のマーベックスさんの大宮モデルも、そういう意味で、これから考えていくための材料の一つになりました。
大切なのは「エアコン1台」という数字ではないのかもしれません
今回、大宮モデルを見て改めて感じたのは、エアコンの「台数」だけでは快適さは語れないということです。
1台でつくった空気を、どう家全体へ届けるのか。
そして、それぞれの部屋からどう戻すのか。
その流れまで考えられて初めて、家の中の温度ムラが少ない環境につながっていくのだと思います。
家づくりを考えていると、「エアコン1台」「高断熱」「高気密」といった分かりやすい言葉が目に入ってきます。
もちろん、それらも判断材料の一つです。
ただ、その言葉の奥で「実際に空気がどう動いているんだろう」と少しだけ気にしてみると、家の見方も変わるかもしれません。
参建でも、今までやってきたことを大切にしながら、良いものは勉強して、少しずつアップデートしていきたいと思います。